ライブレポート

ハンブレッダーズ 『Cagayake!BOYZ ワンマンツアー 』東京編ライブレポート

<ライブレポート>


初ワンマンから1年後の323日、東名阪を含む全5会場で行われるハンブレッダーズのツアー『Cagayake!BOYZ ワンマンツアー』が渋谷CLUB QUATRROから幕を開けた。昨年発売された初の全国流通アルバム『純異性交遊』がCDショップ大賞 関西ブロック賞を受賞し今回のワンマンツアーはほぼ即完売など、踏みとどまることを知らない彼らのツアー初日の様子をMCやセットリスト込みでお届けします。

『Cagayake!BOYZ ワンマンツアー』のネタバレを含む記事となっています。これからツアーに参加される方やネタバレを見たくない方は注意していただけますと幸いです。

 

教室の隅にいたハンブレッダーズが800人の前に立った夜


キャパ800を誇る渋谷内で大きめのライブハウス CLUB QUATTOROには、青春真っ只中な学生や思春期なんてとっくにすぎた大人たちなど幅広い年齢層のオーディエンスが集まっている。皆ハンブレッダーズの登場を今か今かと待ちわびている。東京の会場BGMは、ボーカル ムツムロが選曲、ハンブレッダーズのルーツを感じるような楽曲が多い印象だ。ロックバンドKenoの「おはよう」をBGMにエメラルドグリーンに包まれたステージへメンバーが順々に登場し、オーディエンスは今日までの期待感と高揚感を彼らに投げるような歓声と大きな拍手でメンバーを迎える。18時35分、予定より少し遅れてツアー初日がついに幕を開ける。

口笛を吹くようにから今日のステージが始まる。ミディアムチューンにも関わらず1曲目とは思えない盛り上がりをみせ、「お待たせ。みんなが家で聴いている音楽を鳴らすので、楽しみにしていてください」と自宅でも聴くほど彼らを愛している人だけが集まるいかにもワンマンライブらしいMCと共に、今度は『マジシャンガールがQUATRROに響く。楽曲にあった淡い恋心のようなピンク色の照明に包まれながら披露されたこの曲、2サビの前で歌詞が飛んでしまうアクシデントがあったがさすがのワンマン。オーディエンスはすかさず飛んでしまった歌詞を拾うように歌い上げ、「ありがとう」とムツムロは一言こぼし歌へと戻る。2曲目にして会場の一体感はもうすでに出来上がっている。

開始から10分も経っていないのに、会場の後ろの方まで拳は高くあがっている。それは、どれだけハンブレッダーズのツアーを待ちわびて生きていた人がいるのかを証明するには十分すぎるくらいの盛り上がりだ。

会場の熱気は止まることなく、3曲目『フェイクファーが披露されると会場全体はより熱くなり、メンバーの顔にも汗が光っている。「こんばんは、ハンブレッダーズです。お待たせしました。楽しみにしてきました。(客席を見渡し)…リストバンド嬉しい!」とファンへ言葉を送り、「迷惑をかけないように楽しんで帰ってください、ありがとう。」と世の中の”ルール”を口にし4曲目『常識の範疇』が青い光の中で始まる。どんどん盛り上がるメンバー4人に負けずと、オーディエンスもビル5Fにあるフロアを揺らしまくる。さらにはベースでらしとギター吉野エクスプローションが向かい合わせて音を鳴らすと会場からは歓声があがり、5曲目「」が披露され時刻は19時に。開演から早くも30分が経っていた。好きなバンドのライブはどうしてこう、時間がすぎるのが早いのだろうか。

彼らの音楽を好きな人たちだけが集まる会場はどんな場所よりも居心地がよく、フロアの雰囲気にどこか安心感を抱いていると「ありがとうございます、ハンブレダッーズです。こんなに盛り上がるんだね、ワンマンライブだなって実感します」とメンバー自身もワンマンならではの雰囲気を感じている様子。「ハンブレッダーズ 知っている人ー?」というステージからの予想外な質問に、オーディエンスは笑いながら「はーい!」と元気よく返し、「すごい!子供番組みたい!」とギター吉野エクスプロージョンの言葉を筆頭にメンバーも大笑い。「教室の隅にいる僕らが渋谷のど真ん中に立っている。僕らより、そこにいるYouTuberみたいな髪色しているお客さんの方がステージ似合うよね!」とベースでらしがさらに笑いを誘う。

「恋愛をするとき、外見が好き、中身が好き…色々あるけど、僕はその人の”ユーモアセンス”に惹かれて恋に落ちます」と前置きをしヌーディーな紫色の光の中で「ユーモアセンス」を歌い上げた後、「エンドレスヘイト」と「席替え」を披露。久しぶりの楽曲にフロアはさらに熱気に包まれたところだが、ここで一気に静寂が訪れる。静まり返ったフロアからは次の曲への期待感が伝わってくる。ハンブレッダーズのライブは本当に思春期のようにステージの雰囲気がコロコロ変わる、そんなところも魅力の1つなのだろう。

静寂を優しい音色でそっと切り取るように始まる付き合ってないけどお互いに」。慌ただしい思春期を表現するかのように忙しかったステージ照明はすっかりと落ち着いており、ほっとするような暖色が彼ら4人を優しく照らす。が、やはりロックバンド ハンブレッダーズ。ステージの雰囲気とは裏腹に1年間の成長を感じさせるような分厚いバックサウンドと個性的で伸びやかな歌声には驚かずにはいられなかった。

そうして、2度目の静寂がまた顔を出す。汗を拭き、「ありがとうございます、それしかいうことないです。はじめての東京ワンマン…!」とハンブレッダーズらしい不器用な言葉がぎこちなくステージ上で紡がれる。初めての東京ワンマンだからこその「めちゃめちゃ緊張しています」という本音を漏らし、「年末に喉を壊してしまって。でも今日は声は出るのに歌詞が飛んじゃうっていう…でもそういうの込みでライブなので(笑)」とポップに緊張を露わにするムツムロ。「自分で言うな!(笑)」と吉野エクスプロージョンが相変わらずツッコミをいれる姿をみて、”高校1年に結成された頃と大切な部分はなにも変わっていないのだろう”と勝手な想像力を掻き立てられる。

 

「スクールカーストのど底辺」「教室の隅にいるような」が口癖のハンブレッダーズにしか歌えないナンバーが鳴り響き第二幕がスタート、”童貞だって〜”で始まるチェリーボーイシンドローム」だ。最初の童貞フレーズをメンバーとオーディエンスが一緒に大声で歌いあげ、激しいロックサウンドでフロアをまた熱くする。先ほどまであった緊張のリミッターはすっかり外れているようで、それが伝わったのかフロアは間違いなく最高の大盛り上がりを更新。ハンブレッダーズのライブではお馴染み、ベースでらしの大ジャンプも披露され、きっとクアトロから出たらこんなに暴れないであろう人たちが拳をできるだけ高くあげている。間違いなく今日ツアーにきてよかったと改めて思う瞬間だ。

さらに、きてよかったと思う瞬間は続く。次に披露された「ッドナイトフリクションベイビー」では、「視聴率100パーセント目指します!!!」と吉野エクスプロージョンがオーディエンスとメンバーに高らかに宣言し、体全体で表現する激しいギターソロをぶちかます。そこにメンバーも加わり、最終的にはインストバンドかと思うくらいの圧倒的パフォーマンスでまた違う角度からファンを魅了する。いつからこんなかっこいいバンドになっていたのか、ハンブレッダーズ。一夜があけた今でもあの演奏シーンはすぐに思い出せるくらい印象的で、特にこの瞬間はこれからがますます楽しみになるきっかけの音に聴こえて仕方なかった。

さっきまで演奏していた人とは別人かのように「楽しいなぁ」とムツムロがそっと呟くと、フロアからは「楽しい!」という声があちこちで上がる。少し間をあけ、「あ、ありがとう、ございます…!人と話したりとか感動を共有するより1人でいるのが好きな人間なので、テンションの持って行き場がわからない」とムツムロは戸惑いを隠せない。彼らの演奏はど底辺からなっているとは思えないほどだが、なにも変わらないちぐはぐなMCにわたしたちはほっとするのだろう。

「どんな人が来ているから知らなくてもいい。僕たちが音楽を提供して、そこに救いがあればうれしい、知らないままでいい。多分なんですけど、優しい人がここに来ているんじゃないかなって思う。自分はアルバム2枚リリースしてからこんなに優しい人が全国にいるんだなって思って日々救われてます、ありがとうございます」とこれまでの活動を振り返るような語りのあと、自分以外の人には優しくできる人のことを描いた「CRYING BABY」を披露。3曲目「フェイクファー」と同じ色をしていたステージだが、この時は淡い恋心ではなく優しく寄り添ってくれるようなピンク色に見える、これもまた音楽の力だ。時刻は19時30分過ぎ。今日のライブが終わりが近づいていることを示す数字は寂しさを少しづつフロアに生む。

「あと2曲なんですけど、音楽は高尚な娯楽だと思っていて、数々の音楽が自分にしてくれたようにBGMや救いになる音楽を。誰とも分かち合えないような悲しいことがあったとき1番身近で聞いてくれたのはエレファントカシマシだったし、失恋した時は銀杏BOYZだった。僕もそんな音楽ができたらなっておもってます。ただのデーターだけども、ヘッドフォンの中は宇宙でした」とハンブレッダーズの作詞作曲を務めるムツムロのこれまでのルーツを感じとれるようなMCのあとに披露された曲は代表曲でもある「DAY DREAM BEAT」だ。口パクしながら1人登下校していたであろう人たちでいっぱいのフロアは1人1人が熱気の源であるかのよう。2サビ後、メンバーはオーディエンスにシングアロングを求め、それを聴く彼らはとても嬉しそう。普段は大声なんてものとは無縁であろう人たちが、ハンブレッダーズのライブを理由に自分たちの曲を慣れない大きな声で歌うこと以上に素晴らしいことが昨日あっただろうか。

最高潮を迎えていたフロアへ「ロックンロールって音楽は弱者のためにありますように」とポツリと残し、ネバーエンディング思春期を掲げるハンブレッダーズらしい「弱者のための騒音を」がラストソングとして流れ始める。「子供のままで大人になろう」というフレーズを全員で歌い、最後はこの日のMCで1番発したであろう言葉「ありがとうございましたー!!!!!!」と大声で叫び、ハンブレッダーズ初めての東京ワンマンは幕を一度閉めた。

休む暇もなくすぐにアンコールを求める拍手がフロアのあちこちから鳴り始める。今日この日にもう一度、ハンブレッダーズに会いたいというファンの気持ちだ。しかし、彼らはステージに顔をださない。今日はもう終わりなのかという不安を切り裂くように、手拍子に加え「アンコール!アンコール!」の声が1人の観客から聞こえ、たちまち「アンコール!」の大合唱が起こる。名前も年齢も住んでいるところも知らない人たちがハンブレッダーズというロックバンドを通して団結した瞬間である。

ステージがパッと明るくなった。そう、メンバーの登場の合図だ。ごく自然にぞろぞろとメンバー4人が各自の持ち場にたつと、男性のお客さんから「ムツムロさん結婚して!」と声があがる。「俺、異性愛者やねん」と丁寧にお断りをし暖かな雰囲気の中、とある情報が解禁された。


対バンツ相手はまだ好評できないようだが、夏にまたハンブレッダーズが同じ場所でライブをすることが発表されたのだ。さらにアンコール曲の1発目には新曲「ファーストラブレター」も初披露。「RADIO GIRL」と「逃飛行」まで最後までたっぷりとファンを魅了し、20時10分ワンマンツアー初日は幕を下ろした。

30才になっても、ずっと思春期のままで。

彼らは人がもつ弱さや未熟さをバカにしない、音楽で自然に救ってくれる。そんなことをより感じたワンマンライブだった。いつまでも思春期をひきずってしまうわたしたちの味方でいてくれるような不器用な彼らが魅せる1時間半のステージは、今日も思い出さずにはいられない。

24,25才がまだ思春期の真っ只中にいるなんてよく考えたらおかしな話しだが、スクールカーストのど底辺にいた彼らにしか鳴らせない音楽があることをより強く感じた日となった。

どうかこの先も”ネバーエンディング思春期”を掲げるハンブレッダーズのままで。

読んでいただきありがとうございました。

 

ハンブレッダーズ 『Cagayake!BOYZ ワンマンツアー』

3月23日(土) 渋谷CLUB QUATRRO(東京)

3月30日(土) 名古屋CLUB UPSET(名古屋)

3月31日(日) 梅田CLUB QUATRRO(大坂)

4月21日(日) 札幌SOUND CRUE(北海道)

4月29日(月) Queclick(福岡)

※全公演ソールドアウト

 

【受付中!】ハンブレッダーズの今後のライブまとめ

 

■4月19日(金)@栃木
RADIO BERRY 25th ANNIVERSARY haruberrylive2019
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■4月28日(金)@愛媛
ガガガSP ツアー2019 「日本最古の青春パンク街道一直線 -2000-2003-」
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5月1日(水)@東京
ムロナナイトカーニバル〜O-Crest 15th Anniversary day3
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詳しくはハンブレッダーズ公式HPへ!

※1,2曲抜けてしまっているかもしれません。わかる方がいらっしゃいましたらこちらまでご連絡ください。

ABOUT ME
あき
インディーズバンドなどコアな音楽を紹介する記事や音楽界隈に関するコラム記事、またインタビューやライブレポートなど執筆。 好きなバンドはたくさんありますが、サイトを始めるきっかけの音楽はHalf time Oldとヨルシカです。